猛暑に加え、豪雨で被害が出ております。被害に見舞われた皆さまが一日も早く平穏な日常を取り戻すことができるよう願っております。
さて、当研究会第20回研究協議会は、新型コロナ感染症の爆発的な感染拡大を鑑み、オンラインにて、全国各地から、教職員、保護者、盲ろう当事者、研究者、医療・療育関係者、学生等、さまざまな立場の方々、100名程の参加を得て、開催いたしました。
午前は、「弱視難聴児童の実態把握から指導内容を検討し、実践につなげる」 と題して、筑波大学附属視覚特別支援学校教諭の佐々木望美氏に、対象児童の視覚と聴覚の活用の様子と発達段階等を踏まえて、課題を明確にし、児童の主体的な活動を引き出しながら実感を伴ったことばや概念を育んでいる実践の様子を多くの映像を交えながら報告いただきました。また、社会福祉法人新潟地区手をつなぐ育成会あすなろ福祉園生活支援員の上田淳一氏には、「新潟市で福祉就労するSさんの社会生活」 と題して、 Sさんが盲学校を卒業後、社会人としてどのような生活を送っているのか、学校で得た力が、今現在、どのように活かされているのか、そして、どのような課題があるのか、日々の生活の様子と職員からのメッセージやご両親のねがい等を交えながら、報告をいただきました。
午後からは、講演会やデータベース等の情報提供後、20回目を記念して、「盲ろう教育の現状と課題を踏まえて、今共有したいこと」 と題するシンポジウムを行いました。シンポジストとして、青木 隆一氏(千葉県立千葉盲学校校長)、上峯忍氏(鹿児島県立出水養護学校教諭)、井本千香子氏(盲ろう児と家族の会ふうわ会長)、亀井笑氏(筑波大学附属視覚特別支援学校教諭)の4名の方に、それそれの立場から、教育現場で盲ろう児の指導に当たる中で悩み考えたことや実践の中で学んだこと、保護者の立場で望むことやねがい、アメリカとオランダの盲ろう教育の実践から学んだこと、盲ろう教育を取り巻く施策や教育行政等を語っていただきました。これらの問題提起を受け、盲ろう教育を巡る課題の共有を図り、今後の研究会の取組や各機関等への働きかけに活かしていくことを確認いたしました。
オンライン開催ではありましたが、画面越しに盲ろう教育に関心をお持ちの方々と時間を共有できたこと、とても有難いことでした。ご報告や話題提供いただいた皆さま、ご参加いただいた皆さま、要約筆記等ご協力いただいた皆さまに心から感謝申し上げます。